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アダムスミスが見たかったもの

 1700年代後半。イギリスはフランスとの戦争のあと、財政的にも借金(国債)が嵩み非常につらい状況でした。当時の経済を支配していたのは重商主義。貿易で儲けさえすればいいというような中、貧しい国民には、植民地であるアメリカの防衛コスト、税金のために財産を差し出せというようなことまであったといいます。

 

そんな中で、人はまず自分・身の回りから豊かになっていかなければならない。国はまず自国の中から豊かになっていかなければならないと当時の経済政策に警鐘をならしたのがアダムスミスでした。

 

アダムスミスには二つの著書があります。「道徳感情論」と「国富論」です。

 

道徳感情論 (講談社学術文庫)

道徳感情論 (講談社学術文庫)

 

人には「同感」という仕組みがあり、人が嫌がることはやらない、間違ってると思うことはしないというルールの塊である「道徳」があります。国というのは人々がそれをやってはいけないという判断のもとになっている「正義」からなりたっていると考えました。強い人には強い人の正義、弱い人には弱い人にも正義がある。富んだ人の正義によって自然と富が再分配される。地主の見栄によって新しい人が雇われ、富が再分配されていく。それを「見えざる手」と表現しました。

 

国富論 (1) (中公文庫)

国富論 (1) (中公文庫)

 

当時の重商主義を批判し、まずは国の中から富んでいくために農業、工業、貿易という順番で優先していかなければいけないということを発しました。その中で分業し、国民に富ませ、分配を促し、より強い国家への道を示しました。加えて、当時アメリカにはトマスペインが「コモンセンス」の中で独立すべきだということを示しており、スミスはイギリスにかかる植民地の防衛コストを下げ、ちゃんと自由貿易を行うためにも独立を進めるべきだと言って独立を進めたといわれています。

みんなが貧困から逃れ、お金を使うようになれば市場は正しく是正される。ここにもアダムスミスの「みえざる手」(市場価格調整メカニズム)の考え方が表れているようにも見えますね。

 

個々人ができることは限られているけども、みんなが身の回りに気を付けて正義と、富を分配していけば、人々、ひいては国が幸せになることをアダムスミスは言いたかったのかもしれません。

アダム・スミス―『道徳感情論』と『国富論』の世界 (中公新書)

アダム・スミス―『道徳感情論』と『国富論』の世界 (中公新書)